研究紹介漫画について
関西野生生物研究所代表の川道美枝子はエゾシマリスの行動生態を1973年以来調査したり論文まとめをしてきました(アライグマやハクビシンより、こちらが本業です)。エゾシマリスと亜種の関係にあるチョウセンシマリスもプサンで数年研究してきましたが、2006年から北米大陸のシマリス研究にカナダ・カムループス、アメリカ・アリゾナのグラハム山へ行きました。北米には24種類のシマリスが生息し、様々に分化しています。環境要因と行動や社会にどのような関係があるかを調べたいと思ったからです。
車社会の北米では車での移動は必須ですが、ペーパードライバーの川道はとても運転する勇気は無く、2006年にはカナダ在住の日本人留学生にお世話になり、フィールド探し、2007年にはトンプソンリバー大学の先生に学生を助手に紹介してもらい、観察を開始しました。ところが、大変に有能な学生さんたちで、とても助かったのですが、調査補助は8時間まで、それ以上はアルバイト謝金の時給が1.5倍。シマリスの出巣から入巣までおよそ13時間以上の観察が必要なのですが、お金を払っても長時間の雇用は困ると先生から言われ、朝観察するか夕方かと選択をせまられ、また、学生ですから、授業がある日は来てくれません。大事な継続観察が・・・・・と言っても無理でした。
で、2008年には昔、日本動物植物専門学院で教えていたときの教え子が、時間に余裕があるとのことで一緒にカナダへ行ってもらうことにしました。仕事ができることは学生の時から分かっていたのですが、実際に現地では大活躍でした。しかし、一緒に行くことの可否で最大のポイントは「長時間一緒にいても嫌でない人」という点でした。これも理想的に相性も良く、2008年、2009年はカナダ、2010年、2011年はアリゾナで、4年一緒にシマリスの観察をしました。彼女(kyokoさん)が折々に観察の漫画を描いてくれました。ちょっと楽しいので、公開します。①から⑨話ですが、内容に描かれている年はまちまちで、色々な年が混ざっているものもあります。⑨話は世界のリス学者が集まった国際リス会議の裏話です。①の「裏表紙から」とあるのは、他に文章があったからなのですが、それは割愛し、このようなスタートになっています。
野生生物の観察には色々な手法がありますが、シマリスは直接に行動観察をするのが一番良いデータがとれます。しかし、カナダもアリゾナもなぜかシマリスの行動がすばやくて、観察が難しく、初めてテレメトリー(電波を発信する首輪つけて、その個体をアンテナで探索する)をつけました。観察期間は1か月以下ですので、調査の最後に首輪をはずさないとならず、そのときのドタバタ(よく慣れていたシマリスにお願いしてみたら・・・・)も紹介しています。
お暇なおりにでも読んでいただけますと幸いです。